ヨーロッパの通貨統合は便利だけれど味気ない

ヨーロッパでユーロが使われるまでは、事情も異なる大小さまざまな国をひとまとめにして共通の通貨を作るのは不可能だと思っていました。それこそ朝鮮半島がひとつの国になるのと同じくらい、ありえないことに思えたほどです。
ドイツではマルク、フランスではフラン、イタリアではリラが使われていて、お金を両替すると今まで見たことのなかったお金を手にできました。その国の通貨を手にしたことによって、その国にやってきたことが実感できたのです。
たいていの国の硬貨は日本のものより大きくて財布に入れるとかさばりますが、その違和感が外国にいることを感じさせてくれると言っても過言ではありません。
しかし現在ではヨーロッパの多くの国でユーロが使われています。もし2か国以上を旅行するならば、昔のように別の国に入るたびに両替する必要はありません。通貨の統合前を知っていると、今は何と便利な時代になったのかとつくづく感じさせられます。

以前ならばその国でしか使えない通貨は、その国を出る前に使い切らなければいけませんでした。いかにしてお金を無駄なく使い切るか、言い換えれば、いつどのタイミングでいくら両替するかが問題でした。そしてどうしても残ってしまった外国のコインは、旅行を重ねていくうちに邪魔になるほどたまってしまいました。外国のずっしりと重いコインは旅行の興奮が冷めてしまうと、どうすべきか扱いに困るのです。
けれどもユーロが誕生したおかげでこのような問題がなくなりました。ヨーロッパの中でしたらお隣の国に行く時に、それまで使っていたユーロをそのまま持っていけばいいのです。財布を入れ替えたり、レートのいい両替屋を探す必要もありません。

けれどもお金というのはその国の象徴でもあります。それがなくなり共通の通貨が導入されたということは、その国らしさも消えてしまったということです。国境線が消えて、人も物も自由に移動できるのはすばらしいことですが、各国のカラーがなくなってしまったのは事実です。

便利さの裏で、今まで続いてきた文化や伝統が消えてしまうのは現代社会の特徴です。ユーロのおかげで各国の風情が失われてしまったのは少し寂しくはありませんか?